な な 「何やってんですかアンタは!!」 「こ、腰、というより足?!が…がっつり、つ、つっかかってる!」 ひっぱってお願いと手を伸ばしてくるに、目の前が暗くなる。ありえない、この状況で。 (かといって!) 見捨てることもできない! (当たり前だ!) 「い、一体どうして…」 「アレンの後を追いかけてるうちにどうしてかしら、右足が私の意志を離れて動き出して…」 「何言ってるんですか」 わかりません…とがうなだれる。アレンはとりあえず伸ばされた手を掴んだ。 「い、いきますよ!ほら!」 「いっ、いた!いたたいたい!ぬ、抜けない!」 「抜けなさい!」 「抜けたいです!」 アレンのイラついた声もの切実な声も彼女の足、と穴にはきかない。 「ぬ、ぬけろ…!」 「いたっ、いたたった、た、頼むから早めに抜けて…!(足が引っこ抜ける前に!)」 「やっぱりダイエットした方が…!」 「ダイエット関係ないわ、これは違う!これは違うったら!」 騒ぐを引っ張った。 抜けない。 もう一度引っ張った。 抜けない。 アレンは力をぬき、深くため息をついた。の、う、う、と呻いているんだか泣いているんだか、な声がきこえる。 「…」 「はい…」 アレンはキッと顔を上げた。 「見捨てます」 「アレーン!!」 うわーん!と声を上げたに背を向けて、アレンは神田が飛ばされた瓦礫の向こうへと走った。は後回しだ。 今は 「神田!」 呼び、眼前に広がったそれに、アレンはサァッ、と血液が下がるのを感じた。大きなアクマの身体、その影に見えるのは、血の気の失せた顔。 「死ぬかよ…ッ」 うわごとのように、けれど確かに、そう呟いて彼は瞳を揺らした。 「俺は…あの人を見つけるまで死ぬワケにはいかねェんだよ…」 身体がゆっくりと傾ぎ、目の光が失われる。 (俺は) アクマが声を高くして笑った。 「すげー立ちながら死んだぞ!」 体中の血が下へ下がり、一気に上った。唇が震える。恐怖か、戦きか (怒りか) 「お前えぇええ!!!」 発動し、白く光るその左腕が伸び、アクマの姿を捉えた。 指の先まで衝動が満ち、その身体を引き裂く。 そのまま、大きく身体を損傷したアクマは壁に叩きつけられ、突き抜けた。 「神田!」 未だ立ちすくむ彼に走り寄ったとき、穴から覗いたが、目を見開いているのが、視界の隅に入った気がした。 |